HOME >コラムメインページ >ゲームレビュー >B1東地区 第6節

GAME REVIEW

2020-11-01


第6節終了
B1東地区を4ファクターで振り返る



B1東地区を数字で分析する


B1リーグは第6節まで終了。
4強が実力を発揮し上位を占めるが、そこに富山が割って入りレースを面白くしてくれている。
ハイレベルなチームが揃うB1東地区を数字で振り返ってみる。

1位 9勝1敗

宇都宮ブレックス

【eFG%】53.3%(3位)
【TO%】13.8%(6位)
【FTR】32.1%(4位)
【ORB%】35.0%(4位)

これぞ宇都宮という安定した試合運びで、10試合を終えてわずか1敗という強キャラっぷり。

堅いディフェンスで相手に主導権を握らせないスタイルでDRtg(ポゼッション当たりの失点)が0.999でリーグ2位という成績が目立つが、その他には飛びぬけたスタッツは特にない。
ただその理由はこれまでの対戦相手に関係してきそうだ。
宇都宮が戦った相手には琉球千葉A東京SR渋谷と優勝候補が多く含まれる。
これらのチームを相手にしてまだ1敗しかしていないというところに今期の宇都宮の強さがうかがえる。
なんでもできる選手が揃っていて、スタッツ面でも弱点が見つからない。特に書くことがないチームだ。


2位 8勝2敗

千葉ジェッツ

【eFG%】55.4%(2位)
【TO%】13.5%(4位)
【FTR】37.6%(2位)
【ORB%】36.7%(3位)

首位宇都宮に唯一の黒星をつけたチームで、1ゲーム差の2位につけている。

ORtg(ポゼッション当たりの得点)は富山を抑えてリーグトップの1.213。
シュート力が高いため、3PGシュート成功率は地区2位でロングレンジの攻撃が得意だが、それよりも全員がよく走るのがすごい。
エドワーズサイズといったビッグマンもしっかり走るため、攻守においてインサイドも強い。ペイント内の失点数304点は川崎に次ぐ少なさ。

そもそもエドワーズを帰化枠で使えるだけでアドバンテージがかなり大きいうえに、ダンカンが2ndユニットで出てくるんだから相手チームからしたらたまらない陣容。


3位 8勝2敗

川崎ブレイブサンダース

【eFG%】51.1%(6位)
【TO%】12.5%(3位)
【FTR】28.4%(5位)
【ORB%】32.4%(6位)

4強の一角で順調なスタート。

ディフェンス面のスタッツが飛びぬけて良い。

・DRtg 0.939 (1位)
・ペイント内失点数 290点 (1位)
・DRB% 72.3% (2位)
・被3Pシュート成功率 29.0% (2位)
・スティール数 85 (2位)

しっかりプレッシャーをかけてディフェンスできていることがわかる。
不安要素は3Pシュート成功率が29.4%と低いことと、カルファニの怪我。
所属選手の通算3Pシュート成功率は36.8%と高いため、そのうち入ってくるようになるとは思うが、カルファニの離脱はリーグ屈指の守備力への影響は避けられないだろう。


4位 8勝2敗

富山グラウジーズ

【eFG%】57.2%(1位)
【TO%】14.3%(8位)
【FTR】37.9%(1位)
【ORB%】26.2%(10位)

開幕に間に合った外国籍選手はマブンガのみながら、日本人選手の躍動が光りBリーグの盛り上がりを牽引している。

ORtgのトップこそ千葉に譲り2位の1.160だが、シュート効率を表すeFG%ではリーグトップ。
特にドライブでカットインする選手が多く、2Pシュート成功率で59.9%という数字を叩き出していることが影響している。

豊玉を彷彿とさせる「オフェンス8にディフェンス2のラン&ガン」を地でいくチームかと思いきや、今のところディフェンスもしっかり機能している。
第3節からソロモンが合流しており、第6節にはついにスミスも出場するなどゴール下の脅威はリーグトップクラスに。

これまでのポゼッションが764と、東地区で最も早い展開のバスケをしていたが、スミス合流に伴いどのように変化していくのか注目。
また、堅い守備の4強との戦いもこれからのため、最強の矛がどれだけ通用するのかも楽しみである。

個人的には阿部の早期復帰を願ってる。


5位 7勝3敗

アルバルク東京

【eFG%】51.5%(5位)
【TO%】12.3%(2位)
【FTR】22.2%(10位)
【ORB%】29.4%(7位)

勝率は7割を記録しながらも若干不安視される、ディフェンディングチャンピオン。
4強とのゲームで1勝3敗という成績が懸念材料。

目立つ数字では、被3Pシュートの成績がとても優秀。
試投数191本、成功数52本、成功率27.2%はいずれもリーグ最小に抑えている。
またスティール数も地区3位と、コートを広く守れている。

インサイドも平均並には抑えられているが、ジョーンズが負傷し、トーマスが調整中とあって、4強間で比べると見劣りする成績となっている。
ペイント内得失点差がA東京は±0だが、千葉+44、宇都宮+78、川崎+80と現時点では明らかなウィークポイントになっている。

逆に言えば二人抜きでよく戦っているともいえ、インサイドは復帰した時の伸びしろでもある。


6位 6勝4敗

秋田ノーザンハピネッツ

【eFG%】45.1%(10位)
【TO%】13.6%(5位)
【FTR】33.4%(3位)
【ORB%】38.5%(2位)

プレシーズンゲームの勢いはどこへ…?
貯金を2つ作っているので好スタートと言えるかもしれないがちょっと残念。

非常に激しいディフェンスは健在で、スティール数はリーグトップを記録するなど、カーターを故障で欠きながらもディフェンス面のスタッツは申し分ない。

課題はオフェンス力。
プレシーズンゲームではバンバン入っていた3Pシュートが決まらない。
3Pシュート成功率は26.5%で地区ワーストで、この数字がeFG%の悪さにそのままつながっている。

攻めあぐねてタフショットを打たされている場面も多いが、オープンの状況でも結構な確率で外している。
スティール数上位のディフェンスプレッシャーが激しいチーム相手には、より顕著にあらわれており試合も落としている。

勝率は悪くないものの、上位とのゲームに勝つためにはこの数字が上がってこないことには難しいかもしれない。


7位 4勝6敗

サンロッカーズ渋谷

【eFG%】49.8%(8位)
【TO%】13.9%(7位)
【FTR】25.1%(8位)
【ORB%】38.8%(1位)

上位陣との試合が多く、勝ち星の伸びない序盤となった。

負けた試合でも、第5節宇都宮戦GAME1以外は1桁点差の敗戦で、勝利には紙一重だが、勝ちきれないという印象のほうが強い。

とても極端な成績が残っており、ORB%とペイント内得点はトップだが、DRB%がワーストでペイント内失点数はワースト2位。
スティール数は3番目に多いが、被スティール数も3番目に多い。

つまり、オフェンスが良くても、ディフェンスが悪くてイーブンということになっているが、それに加えてシュート精度が良くない。
マカドゥが合流したことで好循環が生まれるか要チェック。


8位 3勝7敗

レバンガ北海道

【eFG%】52.2%(4位)
【TO%】12.1%(1位)
【FTR】24.9%(9位)
【ORB%】27.0%(8位)

お前のものは俺のもの。ルーズボールはマイボールの精神で激しいプレッシャーを展開するが、なかなか勝ち星が伸びない。

いずれも東地区トップの3Pシュート成功数91本と成功率37.4%の成績を残しているが、数字ではインサイドの弱さが目立っている。

ペイント内への侵入を防げておらず、ペイント内の得失点差が-114点は断トツのワースト。ワースト2が新潟の-30なので、北海道の数字が東地区で突出していることがわかる。
また、与えたフリースロー257本もリーグワーストとなっている。

外からの攻撃が主体となっていることも関係して、ORBがなかなか取れておらず、フリースローの獲得も少なくなっている。

第6節で遂にパプが帰ってきたので、ここから修正を図っていきたい。


9位 3勝7敗

新潟アルビレックスBB

【eFG%】50.6%(7位)
【TO%】16.1%(9位)
【FTR】27.9%(5位)
【ORB%】26.3%(9位)

来日を果たしたミッチェルが直前になって入団できないアクシデントがあるなど、チーム状態が整わず苦しいスタートとなっている。

全体的に厳しい数字となっているが、特に問題なのはディフェンス面。
被スティール数は東地区ワーストの76本を取られており、ORB%とDRB%もリーグ下位に沈んでいる。
逆にスティール数は55本で2番目に少なく、プレッシャーが弱いため3Pシュートはリーグワーストの40%の確率で決められている。

セントフォートが結果を出し始めてきたが、今度はヘンドリックスとの契約解除が発表され、先行きは不透明のままだ。


10位 2勝8敗

横浜ビー・コルセアーズ

【eFG%】49.6%(9位)
【TO%】21.4%(10位)
【FTR】25.9%(7位)
【ORB%】32.6%(5位)

今シーズンも厳しい戦いとなっている…。

目立つのはターンオーバーの多さ。
TO%が21.4%となっているが、ワースト2の新潟が16.1%なので群を抜いて多い。
被スティール数も多いのだが、割合の特徴で言えば自分たちのミスで犯したTOが多いことが挙げられる。

ORtgもリーグワーストとなっているが、ここは昨季平均20得点以上のカーターが11月から合流することで改善は見込めるはず。


まとめ


B1東地区は数字で見てもすごかった。
どのチームも数字を見れば課題が浮かび上がってきたのに、4強に関しては「なんかある?」ってレベル。
こういうチームがあるから、信州のジャイアントキリングみたいなのがあって面白いんだけどね。
今度はリーグガバナンスの特性のコラムでも書いてみようと思う。


※チームスタッツは順位から確認できます。
公式にはない数字を比較できますのでこちらも是非ご覧ください。