B1西地区を数字で分析する
B1リーグは第6節まで終了。
コロナ禍でブースターはアリーナへの来場が制限され、例年にはない不安の中で開幕したBリーグだが、そんな逆風を吹き飛ばすような熱い試合が各地で展開された。
ちょうど10試合を終え小休止に入ったこのタイミングで、各チームの状況を振り返ってみようと思う。
1位 8勝2敗
琉球ゴールデンキングス
【eFG%】50.9%(4位)
【TO%】14.8%(6位)
【FTR】31.0%(2位)
【ORB%】35.6%(2位)
【TO%】14.8%(6位)
【FTR】31.0%(2位)
【ORB%】35.6%(2位)
開幕節で宇都宮に連敗してシーズンをスタートさせたが、その後は8連勝とさすがの強さを見せて首位に浮上。
開幕からクーリーがゴール下で雄叫びをあげまくっており、外国籍選手の合流が遅れた影響をチーム一丸でカバーした。
DRtg(ポゼッション当たりの失点)が地区最小に抑えられており、今期もハードなディフェンスから組み立てるバスケが機能している。
攻撃面のスタッツでは、良くも悪くも目立った数字が残っていないものの、遅れて合流したエヴァンスとティリがフルでプレーするようになれば自ずと上昇してくるはず。
二人のコンディショニングが不安要素となっているが、ベストメンバーを揃えて東地区の強豪に一泡吹かせてほしい。
2位 7勝3敗
シーホース三河
【eFG%】56.3%(1位)
【TO%】13.4%(3位)
【FTR】23.6%(8位)
【ORB%】28.6%(4位)
【TO%】13.4%(3位)
【FTR】23.6%(8位)
【ORB%】28.6%(4位)
開幕からびっくりするほどシュートが入り、開幕5連勝を飾るなどいいスタートをきった。
高いeFG%は、40%以上を超える3Pシュートの成功率が大きく影響している。
すでにチーム全体で107本の3Pシュートを成功させているが、なかでも金丸は36本を決め、成功率は52.2%と手がつけられない状況になっている。
怪我で離脱したが、川村も14/21で66.7%沈めているなど、少々決まりすぎな感は否めない。
今年はインサイドとアウトサイドの連携がうまくいっているように思えるが、ガードナーのパフォーマンスはもうちょっと上がってくる必要がありそう。
ガードナー自身も外からのシュートが増えたためか、例年よりFTRが20%ほど低いのが気になるポイント。
今はチームのアウトサイドシュートが好調だが、おそらくこの成功率がシーズン通して続くことはないので、ガンガン攻めてファウルをもらい、インサイドのアドバンテージを取りたいところ。
3位 6勝4敗
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
【eFG%】55.7%(2位)
【TO%】16.1%(8位)
【FTR】32.9%(1位)
【ORB%】21.2%(10位)
【TO%】16.1%(8位)
【FTR】32.9%(1位)
【ORB%】21.2%(10位)
名古屋のファンタジスタ齋藤が開幕からエンジン全開。自在にボールをコントロールするサーカスバスケでファンを魅了し、リーグNo.1PG争いに名乗りを上げるような活躍を見せている。
ORB%(オフェンスリバウンド奪取率)はリーグ最下位ながら、DRB%(ディフェンスリバウンド奪取率)はリーグトップ。
固く守って一撃で決めるスタイルを貫いている。
DRBを確保するためにディフェンスでは中を固めており、ペイント内失点は島根に次いで2番目に抑えているが、打たれた3Pシュートの本数はリーグ最多。
外へのチェックはあまり厳しくなく、ファウル数も地区で最も少ない。「無理してでも打たせない」というディフェンスではなく、できるだけ崩して打ちたきゃ打てばという姿勢に見える。
オフェンスは外に展開してインサイドにスペースを作り、ドライブでガンガン攻めていく。これは齋藤を最も活かせるスタイルでもある。
もちろん、3Pシュートを得意としながらドライブも決めれる安藤や狩野、エアーズなどがいるからこそできる戦術。
インサイドにはバーレルがいるかいないかくらいなので、ORBはほぼ取れないが、2Pシュート成功率は58.2%で富山に次いでリーグ2位の破壊力。
より上位にいくためには、ディフェンスの強度を上げ3Pシュートを防ぐ必要がありそうだ。
あとは第6節に合流したライオンズの運動力に期待。
4位 5勝5敗
島根スサノオマジック
【eFG%】50.2%(6位)
【TO%】15.8%(7位)
【FTR】28.5%(6位)
【ORB%】36.2%(1位)
【TO%】15.8%(7位)
【FTR】28.5%(6位)
【ORB%】36.2%(1位)
サプライズチームといったら失礼か。
昨年最下位の島根が、10試合を終えて勝率5割をキープしている。
とにかくインサイドで根性を見せているのが特徴。
ペイント内での失点数264点はリーグ最小に抑える固さ。ペイント内得点も大阪に次ぐ418点で2番目に多い数字を残している。
リバウンドはランカー上位がいるわけではないが、シュートと同時に外にポジションしている日本人選手も積極的に飛び込んでいる印象があり、全員でチャンスを拾っている。
課題は攻守においてアウトサイド。
3Pシュート成功数はリーグワースト2位の58本で、成功率はワースト3位の29.0%となっている。
対して被3Pシュートは92本決められており、これはリーグワースト3位の成績。
SGの白濱や杉浦を故障で欠いたチーム事情や、インサイドを固めているため仕方のない部分があるかもしれないが、シーズンで勝ち越すためにはクリアしなければいけない課題になりそう。
5位 4勝6敗
滋賀レイクスターズ
【eFG%】50.8%(4位)
【TO%】14.6%(5位)
【FTR】27.3%(7位)
【ORB%】30.8%(3位)
【TO%】14.6%(5位)
【FTR】27.3%(7位)
【ORB%】30.8%(3位)
こちらもサプライズチームに分類されるだろうか。開幕に外国籍選手が3人とも間に合わずクリークモアが孤軍奮闘するスタートだったが、徐々に強さを見せてきており借金返済が見えてきた。
齋藤や狩野など昨季後半の快進撃の中心を務めた選手たちが流出し、ほぼ新チームと言っていい布陣で臨むことになった今シーズン。
そんな逆風を吹き飛ばしつつあるのは、(すでに巷で話題になっているが、)今期の新外国籍選手がえぐい活躍を見せているのが大きい。
変幻自在なプレースタイルのオクテウス。何でもできる天才ハミルトン。脚を動かせるビッグマンのブラント。
タイプの違う3人がそれぞれの役割をきちんと果たしており、そこにポテンシャルの高い若手日本人選手が絡んで躍動している。
3人が合流した第3節以降のみのORtg(ポゼッション当たりの得点)は1.152と千葉、富山、三河に次ぐ数字になり抜群の破壊力を誇っている。
課題はディフェンス。
負ける試合はORB%が30%を切るか、2Pシュートを60%以上の確率で決められているように、インサイドをえぐられる展開のとき。
走りっこでは負けない印象なので、ブラントのフォローをチームで連携する必要がある。
6位 4勝6敗
大阪エヴェッサ
【eFG%】52.9%(3位)
【TO%】16.2%(9位)
【FTR】21.4%(10位)
【ORB%】28.2%(5位)
【TO%】16.2%(9位)
【FTR】21.4%(10位)
【ORB%】28.2%(5位)
4強との対戦が4試合あったとはいえ、いまいち波に乗れずに借金スタート。
アイラのいるアドバンテージがあるためインサイドで強さを発揮するチームだが、怪我人続出という事情もありバランスの悪さを感じる。
TO%の数字が非常に悪いが、これは被スティールが87個でリーグワーストのライブターンオーバーが発生しているためである。
ボールプッシュできる選手が少ないため、伊藤への負担が大きくなっていることが起因していると考えられ、ニュービルの合流でこの流れを断ち切りたい。
角野や中村などの覚醒があれば琉球を追えるチームだと思うので、ここからの活躍を期待したい。
7位 3勝7敗
広島ドラゴンフライズ
【eFG%】49.4%(9位)
【TO%】13.2%(2位)
【FTR】29.1%(4位)
【ORB%】27.0%(6位)
【TO%】13.2%(2位)
【FTR】29.1%(4位)
【ORB%】27.0%(6位)
開幕から上位チームとの対戦が続き、星勘定はよくないが、今までの昇格チームと比べるとB1初挑戦で十分戦えてる印象。
エチェニケがB1で通用するのかといった疑念を、見事に吹き飛ばす活躍をしているが、それでも弱点はインサイドにあるように見える。
ペイント内の失点は442点でリーグワースト。高確率でリム付近のシュートを決められており、ファウルもできていない状況。
ブロックショットは試合平均4.0で高レベルだが、それが脅威になっていないレベルでペイントへの侵入を許している。
DRB%は地区ワーストになっているため、まずは相手にオフェンスリバウンドを許さず、セカンドチャンスの芽を摘み取りたい。
ケネディの帰化状況次第で新しい選手が加入することになると思うが、それまでに課題の解決ができれば上位食い込みもあり得る。
8位 2勝8敗
信州ブレイブウォリアーズ
【eFG%】49.5%(8位)
【TO%】19.1%(10位)
【FTR】29.3%(3位)
【ORB%】21.5%(9位)
【TO%】19.1%(10位)
【FTR】29.3%(3位)
【ORB%】21.5%(9位)
こちらもB1初挑戦ながら善戦しており、第5節では川崎相手に大金星を挙げジャイキリを果たした。
なかなか外国籍選手が揃わずホーキンソン頼みとなっていたが、見事な活躍でチームを支えてくれた。
西山も日本人エースとしてB1でも通用するプレーを見せており、全体的にバランスのいいチームになっている。
リバウンドが取れないという大きな弱点があったが、マーシャルとマクヘンリーが合流したことでこの問題は徐々に解決されていくと思う。
課題はB1のスピードへの慣れだろうか。
相手のプレッシャーに戸惑っている場面が見られ、被スティール数は大阪に次いで多いので、この辺りはビッグマンを使った戦術を増やし修正をしていきたいポイント。
ディフェンスはB1でもしっかり機能していて、上位陣を相手にしながら、中も外も平均以上に抑えることができており、シーズン通して大崩れすることなく活躍してくれるのではないかと思っている。
9位 2勝8敗
京都ハンナリーズ
【eFG%】49.5%(7位)
【TO%】11.8%(1位)
【FTR】28.6%(5位)
【ORB%】25.2%(8位)
【TO%】11.8%(1位)
【FTR】28.6%(5位)
【ORB%】25.2%(8位)
なかなか勝てない苦しいスタートとなった。
課題はディフェンス。
DRtgはリーグワーストの1.207。2位の新潟が1.168で、3位の北海道が1.165という数字を見ると、京都の傑出度の高さがわかる。
とにかくシュートを止められず、3Pシュートは三遠と並んでリーグワーストで決められており、ペイント内失点もワースト4位。
原因はスティール数がリーグで最も少なく、ファウル数も6番目に少ないことから、ディフェンスのプレッシャーが弱いと考えられる。
リバウンドもあまり取れていないところで、ハーパーが故障で離脱することになり、しばらく苦しい展開が続くかもしれない。
個人的には前線で激しいプレッシャーをかけれる石谷をもっと使ってほしい…。
あと、ライスはやばい。
10位 1勝9敗
三遠ネオフェニックス
【eFG%】43.9%(10位)
【TO%】13.9%(4位)
【FTR】23.0%(9位)
【ORB%】25.3%(7位)
【TO%】13.9%(4位)
【FTR】23.0%(9位)
【ORB%】25.3%(7位)
開幕16連敗を喫した昨年に続き、厳しいスタートとなったが10試合目で外国籍選手が全員揃い、遂に今期初勝利を飾った。
HCと外国籍選手3人とアジア枠のラベナが間に合わず、第3節ではまさかのオンザコート0を経験。
日本人エースの西川も故障で欠くなど台所事情はリーグで最も厳しかったのではないか。
だが、そんな三遠には明確に上昇気配が見て取れる。
外国籍選手が合流し始めた第4節以降の数字は下記の通りいずれも劇的に改善している。
【eFG%】38.9%⇒50.5%
【TO%】16.7%⇒10.1%
【FTR】19.0%⇒28.2%
【ORB%】23.3%⇒28.2%
しかも、ここからラベナの合流と西川の復帰が控えており、三遠ブースターとしては逆襲の楽しみしかないのではないか。
勝率上位との対戦も多かったが、ここから仕切り直していってほしい。
まとめ
各チーム10試合を消化すると、今シーズンのチームというものが徐々に見え始めてくる。
開幕連敗スタートの琉球が安定の強さを発揮して、終わってみればいつも通りの首位というスタート。
浜松が地元の私としては、三遠がここからの巻き返しでB1西地区をごちゃごちゃにかき乱してくれることを期待している。
※チームスタッツは順位から確認できます。
公式にはない数字を比較できますのでこちらも是非ご覧ください。