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GAME REVIEW

2020-10-26


第4節終了
B2東地区を4ファクターで振り返る



B2東地区を数字で分析する


B2リーグは第4節まで終了。
東地区は上位グループと下位グループの間に早くも4ゲーム差がついており、大きく差のあるスタートとなった。
開幕に間に合わなかった外国籍選手が続々合流し始め戦力が拮抗しつつあるが、この時点までの各チームの状況を4ファクターを中心に振り返ってみようと思う。


1位 7勝1敗

仙台89ERS

【eFG%】50.9%(4位)
【TO%】14.5%(5位)
【FTR】30.9%(3位)
【ORB%】25.3%(2位)

7勝1敗はB2リーグ全体でも最高勝率の単独首位。開幕から3外国籍選手が揃い絶好のスタートダッシュとなった。

4ファクターで見ると突出した数字はないが、失点数の493はB2リーグで断トツの1位。
2位が越谷の564失点、3位がFE名古屋の591失点で、その後ろは団子状態となっており、仙台のディフェンスの優秀さが際立っている。

ペイント内、3Pシュート、フリースローの失点数はいずれも地区最小となっており、コート上を満遍なく守れていることを表している。
中でも特筆すべき数字として、フリースローで許した失点が67点でリーグ最小。この数字から、相手のオフェンスをファウルなしで抑え込んでいることがうかがえる。
ちなみに、この数字のワーストは福岡の211点で、仙台とは実に150点近い差ができている。(ワースト2位は142の山形。福岡の突出度を改めて紹介しておく…)

懸念材料として、ここまでは「上位チームとの対戦が少ないうえでの成績」ということが挙げられる。4節終了時点で勝率5割以上のチームとの対戦は熊本のみ。そして唯一の黒星は熊本につけられている。
また、ペッパーズが第3節のGAME2で肉離れをおこし戦線離脱となった。即ソープと契約したが、チーム連携にはまだ時間がかかることが予想され今後のゲームが注目される。


2位 6勝2敗

越谷アルファーズ

【eFG%】51.3%(2位)
【TO%】13.9%(3位)
【FTR】37.2%(1位)
【ORB%】34.4%(1位)

開幕戦こそ東京Zに劇的逆転負けを喫したが、その後は強豪群馬に完勝するなど5連勝し、B2挑戦2シーズン目で快進撃を見せている。

ストロングポイントは、インサイド専用兵器であるバッツを中心としたゴール下の強さ。
バッツがB2参戦となった時点で、「誰が止めんの?」と思った方も多いと思うが、まさにその通りの展開に。

ORB%はバッツが42個をもぎ取るなど地区1位だが、DRB%も77.6%で、こちらはリーグでも1位で、ほとんど相手にセカンドチャンスを与えていないということになる。
フリースローの試投数、成功数はともに地区1位の数字を残しているが、試投数でバッツが3位でローソンが4位と、ツインタワーがオフェンス面でも猛威を奮っていることがわかる。
実はペイント内での得点割合は46.0%と平均以下となっているが、長谷川ヒンクルなど外から打てる選手もおり、リバウンドからチーム全体でバランスよく得点している印象。

ただ、第4節のFE名古屋戦GAME1では、ウォルドーが徹底したディナイでバッツにボールを触らせず、オフェンスでも積極的にハイポストにポジションしたことでウォルドーの得点力と引き換えに、バッツをゴール下から引き離すことに成功し越谷は黒星を喫した。
GAME2ではこのバッツ空気化作戦にも対応し連敗は免れたが、今後各チームがどのような作戦を用意してくるか要チェック。
個人的には早いバスケで攻撃力抜群の佐賀がどう戦うかが楽しみである。


3位 6勝2敗

群馬クレインサンダーズ

【eFG%】55.5%(1位)
【TO%】11.9%(1位)
【FTR】19.8%(7位)
【ORB%】31.3%(2位)

このオフ、パーカーを筆頭に大型補強をした優勝候補の群馬が順当なスタート。

B1から8人を補強したこともあり、チームスタッツは軒並み上位。
開幕戦では外国籍が3人揃う茨城に対して、ジョーンズキーナンの合流が遅れていた状況でありながら完勝しており、山崎古牧などの日本人選手の活躍も光っている。

ただ、越谷戦では2試合連続で70-85と完敗。
2試合通じて外からのシュートが入らず、群馬の攻撃力を持ってしても、越谷のゾーンディフェンスをこじ開けるのは容易ではないと知らしめられる結果となった。
オープンでの3Pシュートもしばしば落としていたが、3Pシュートの成功率と本数は共にリーグ2位となっていることと、外国籍選手が合流直後だったことを考えれば、それほど悲観することはないかもしれない。
FTRが異様に低いが、ディフェンスを完全に崩し切って得点しているシーンが多いため問題はないだろう。その証拠にペイント内得点の332点は福岡と並んでリーグトップだ。
逆にわざとファウルをもらいに行くプレイが増えれば、その分得点が伸びる余地があるので、個人的にはポジティブに捉えている。
個人戦力はB1クラスなので、シーズンが進むにつれてチームとしてどう成長していくかが他チームからしても気になるポイント。


4位 6勝2敗

茨城ロボッツ

【eFG%】51.0%(3位)
【TO%】12.0%(2位)
【FTR】27.4%(5位)
【ORB%】31.1%(3位)

開幕戦で群馬に連敗してスタートしたが、そこから6連勝しておりチーム状態は悪くない。

タプスコットトラソリーニがいることもあり、ペイント内での得点は地区2位となっているが、3Pシュート成功率は31.7%で地区6位と若干低めである。
群馬戦ではペイント内の得点をやや抑えられた印象があり、全体的に得点が伸びず敗戦となった。
これから上位チームとの対戦が控えているが、3Pシュートを得意としている選手が多く所属しているため、チームの連携が上昇し攻撃オプションが増えてくれば、コート全体が活性化し守りづらいチームになるだろう。


5位 6勝2敗

福島ファイヤーボンズ

【eFG%】50.5%(5位)
【TO%】14.0%(4位)
【FTR】34.0%(2位)
【ORB%】28.9%(5位)

開幕に間に合った外国籍選手がネパウェのみと、苦戦を強いられながらここまでは好成績を残している。

外国籍選手が合流するに連れてチームスタッツは上がってきており、FTRは地区2位まで上昇した。
開幕節こそ3Pシュート成功率は14/73の19.2%で乱発状態だったが、第2節にマーフィー合流後は59/157で37.6%となるなど、いい状態でシュートを打つことができるようになっており、試投数・成功数ともにリーグ1位の成績を残している。
ディフェンスも頑張っており、被3Pシュート成功率は28.9%に抑えているが、これは仙台に次いで地区2位の数字。
第4節では外国籍選手が3人揃った西宮相手に1勝1敗のタイで終えるなど、上位陣にもいい試合が期待できそうだ。


6位 2勝6敗

山形ワイヴァンズ

【eFG%】44.6%(8位)
【TO%】16.8%(6位)
【FTR】25.2%(6位)
【ORB%】22.9%(8位)

間に合った外国籍選手はブレディのみ。追加契約でボイキンがいたが、オンザコート1を強いられるゲームもあるなど開幕6連敗と苦しんだ。 しかし、第4節からランダルグルボーンが合流し奈良に2連勝。

4ファクターはほぼ下位の数字に沈んでいるが、これは第3節までの影響が大きいため、第4節以降は別チームだと思ったほうがいい。
ちなみに第4節のみの数字は下記の通りになる。
【eFG%】52.7%
【TO%】17.4%
【FTR】42.0%
【ORB%】28.8%
チームのバランスが良くなり、軒並み数字は向上した。
突然の栗原の引退もあったが、それもチームの勝利を考えてのこと。
ここからが山形のスタートになる。


7位 1勝7敗

アースフレンズ東京Z

【eFG%】48.5%(7位)
【TO%】17.0%(7位)
【FTR】19.6%(8位)
【ORB%】22.3%(7位)

開幕戦では、大型補強をした越谷を相手に残り0.4秒で逆転する劇的勝利を収めたが、その後はまさかの7連敗ともがいている。
上位グループとの対戦が続いていたが、1桁点差での敗戦が4試合あり、勝利は紙一重のところでもある。

課題はインサイドか。
3Pシュートの成功数と成功率は共に地区2位のため、アウトサイドのオフェンスは高いレベルにあるといえるが、ペイント内での得点数は210点でリーグワースト2位となっており、得点割合は37.5%でワーストとなっている。
FTRもリーグワーストとなっているため、フリースロー試投数はリーグ唯一の100本以下の99本に抑えられ、成功本数も最小の71本。トップの熊本は144本決めていることを考えれば、前述した群馬とは違い、明確にウィークポイントとなっている。
第3節よりレーンが合流し、ディフェンスリバウンドは取れてきている。
これからはオフェンスリバウンドを増やして湘北並の好循環を期待したい。


8位 1勝7敗

青森ワッツ

【eFG%】49.7%(6位)
【TO%】20.1%(8位)
【FTR】27.0%(5位)
【ORB%】30.9%(4位)

開幕から強豪とのゲームが続いており、苦しいスタートとなった。
現時点で外国籍選手との契約が2名となっていることが影響しているのか、ここまではディフェンスが崩される試合が続いている。

得点を分析する4ファクターではそこまで悪い数字ではないため、オフェンスはそこそこと言える。

よろしくない数字としては、ターンオーバーの割合を示すTO%の数字が20.1%でリーグワーストとなっている。
その中でも、失点に繋がる可能性が非常に高い「ライブターンオーバー」と呼ばれる被スティール数が72個でワーストを記録していることから、TOの内容も悪いことが読み取れる。
逆にスティール数の47個という数字は最小になっており、被3Pシュートの試投数244本と成功数83本は最多となっている点から、相手にかけているプレッシャーが弱い可能性があるといえる。
ファウル数の153は福岡と比べると100個以上少ないため、ファウル覚悟でもっとハードなプレッシャーを相手に与えることが課題と言えそう。
ファウルが増えて多少試合時間が長くなっても青森ブースターは許してくれそうな会場の雰囲気は画面越しに感じている。

外国籍選手が二人ながらも、クロフォードハートの頑張りでリバウンドは平均以上に取れており、下山野里らの得点力も高い。
第4節GAME2の4Qの追い上げ、終了時のコーチ、選手のスピーチを見ているとファイティングスピリットは少しも消えていないことがわかる。
チームは死んでいない。
ここからの青森に非常に期待している。


まとめ


外国籍選手の合流にばらつきがあり、西地区同様に偏った成績となったが、第4節で各チームほぼ陣容が整ってきた。
今のところは前評判通りと言われるようなレースになっているが、各チームの試合を見ているとどのチームにも可能性を感じてしまう。
ここまでの戦いは個の力でなんとかなってきたところも、これからはパワーバランスが拮抗してくることで、チーム力の勝負になってくる。
それぞれの作戦が勝敗を大きく左右するバスケットが50試合以上続くが、各チームには毎試合熱いプレーを期待したい。

※チームスタッツは順位から確認できます。
公式にはない数字を比較できますのでこちらも是非ご覧ください。