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GAME REVIEW

2020-10-20


第3節終了
 B2西地区を4ファクターで振り返る



B2西地区を数字で分析する


Bリーグは第3節まで終了。
B2西地区は4チームが4勝2敗で並ぶという混戦模様でスタートした。 戦力が整わず、まだ今シーズン初勝利を挙げることができないチームもあるが、それぞれのチーム状況を4ファクターを使って分析してみる。

1位 4勝2敗

ファイティングイーグルス名古屋

【eFG%】57.3%(1位)
【TO%】17.4%(5位)
【FTR】37.7%(2位)
【ORB%】34.6%(2位)

4勝2敗で4チームが並んだが、直接対決の得失点差により首位。開幕から3外国籍選手が揃う万全の体制で好スタートをきった。

シュート効率を表す「eFG%」は57.3%で断トツの数字。
3Pシュートの試投数こそ87本とB2西地区で最も少ないが成功率は42.5%でトップ。
松山が12/27で44.4%を決め、杉本が7/13、鹿野も7/17と高確率で沈めてきた。
そしてインサイドのウォルドーフィッツジェラルド含めほぼ全ての選手が好成績を残している。
ただ、所属選手の通算eFG%は52.8%であるため、後々ここに収束する可能性もある。

気になるのはTO%の高さ。
回数で見るとそれほど多くないようにも見えるが、名古屋はポゼッションが少ないため割合は少し高めになる。
第3節の福岡戦で爆増しただけであればいいが、東地区の強豪と戦ううえではもう少し下げておきたい数字ではある。


2位 4勝2敗

佐賀バルーナーズ

【eFG%】52.0%(5位)
【TO%】18.4%(6位)
【FTR】45.8%(1位)
【ORB%】31.5%(3位)

B2昇格一年目ながら同率首位という好スタート。
去年B3でMVPを獲得したトレイ・ギルダーがチームを去り、外国籍選手3名も間に合わないなかで堂々たる開幕を果たした。

フリースローと通常のフィールドシュートの割合を表す「FTR」は脅威の45.8%。
この指標の重要な点は、最も得点効率のいいプレーであるフリースローを得られることと、相手のファウルトラブルの期待値が上がることにある。
100分以上出場した選手のFTRランキングでは中西3位、ボンズ9位、渋田13位と上位ランカーが3人もいる。
この3人が切り込んだらとにかく止められないため、相手はたまらずファウルを繰り返すことになる。(そして福岡は2試合で5人が退場に追いやられた…)
ただ、この数値もファウルしまくる福岡と対戦したという要因があるため、シーズンが進むにつれてもう少し下がってくるだろう。

ディフェンスもしっかりプレッシャーをかけれており、被3Pシュート成功本数は27本、成功率は20.1%と楽に打たせる状況はほぼ作らず、nDRtg(ポゼッションあたりの失点)は0.911でトップ。
また、オフェンスリバウンドの奪取率を表す「ORB%」も優秀。
まだ外国籍選手は第3節にローソンが合流しただけだが、ボンズと日本人ビッグマンの中西が頑張っている。
しかし、佐賀の懸念材料はボンズが追加契約選手ということにある。
元アルゼンチン代表のマルコス・ダニエル・マタなどが加入予定ではあるが、現在MVP級の活躍をしているボンズの流出は痛い。


3位 4勝2敗

熊本ヴォルターズ

【eFG%】52.1%(4位)
【TO%】16.8%(4位)
【FTR】31.8%(5位)
【ORB%】30.7%(4位)

外国籍選手が3名とも間に合わず、中西も佐賀に移籍し苦しい台所事情かと思いきや、司令塔の石川を中心に、木田佐々木など若手がハッスル。
第3節GAME2では強豪の仙台相手にラスト1秒で勝ち越すタフゲームを制し白星をもぎ取った。

4ファクターはいずれも平均付近の数値なっているが、DRB%はB2西地区トップの78%という数字を残しており、しっかり守ってセカンドチャンスを与えず佐々木の速攻などで得点を挙げるような耐えるバスケをしている。
負けた2試合はいずれも1桁の点差のため、4ファクターが1段階ずつ上がれば簡単にひっくり返る惜しい内容。
外国籍選手は第3節にドブラスが合流しただけであり、今後残り2名が合流したら、ここまで耐えてきた熊本の逆襲が始まるかもしれない。


4位 4勝2敗

ライジングゼファーフクオカ

【eFG%】50.2%(7位)
【TO%】19.9%(8位)
【FTR】35.1%(4位)
【ORB%】36.7%(1位)

昨年B2最下位の福岡が同率首位スタート。
ほぼ選手総入れ替えのため昨年とは全くの別チームといえる内容になっている。

ハイプレッシャーバスケでB2を騒がせている福岡は、ファウルとターンオーバーの数でぶっちぎりのリーグトップを快走中。
しかし対戦するチームも執拗なプレッシャーでターンオーバーを連発するドタバタバスケを展開することになる。
ORB%とペイント内得点率51.9%は地区トップ。しつこい姿勢はオフェンスにもあらわれているようでセカンドチャンスをしっかり活かしている。
そういった点では相手を飲み込んだバスケを展開しているとも言えるかもしれない。
しかし、結局のところ3Pシュートが入る試合は勝ち、入らない試合は負けるというバスケになっている。

外国籍選手が全員揃っているというアドバンテージが消えていくなか、シーズン通して上位にとどまるためには、eFG%の向上が不可欠になる。
1on1でズレを作ることができないため、タフショットの連続が見受けられるが、比較的イージーに打てる場面でシュートを選択しないプレイが気になるところ。
オープンの状況なら高確率で3Pシュートを決められる選手が集まったのだから、もっと攻めたバスケを見てみたい。


5位 3勝3敗

西宮ストークス

【eFG%】53.0%(3位)
【TO%】15.3%(2位)
【FTR】27.9%(7位)
【ORB%】28.8%(6位)

毎年上位常連の西宮だが外国籍選手がいまだ揃わず、追加契約のアレクサンダー・ジョーンズのみのオンザコート1を強いられている。

それでも「eFG%」と「TO%」は優秀な数字を残し、フリースロー成功率も82.4%でトップと丁寧なバスケで勝率5割をキープしている。
「FTR」と「ORB%」は外国籍選手の影響が大きくなってくるため、合流後は間違いなく上位に食い込んでくるだろう。


6位 3勝3敗

バンビシャス奈良

【eFG%】51.2%(6位)
【TO%】15.5%(3位)
【FTR】36.6%(3位)
【ORB%】28.5%(7位)

徐々に外国籍選手が合流し、第3節では遂に3人とも合流した奈良も勝率5割をキープ。

FTRは高い数字を記録しているが、半分以上はファウルしまくりの福岡から取ったもの。
さらにフリースロー成功率がリーグワースト2位と時計が止まっているときに得点できない状況になっている。
DRB%の66.3%も地区最下位となっているが、外国籍選手の合流した第3節ではDRB%が78%と急上昇している。
今後上位に行くためにはディフェンスリバウンドを取って相手にセカンドチャンスを与えず、オフェンスリバウンドを取りセカンドチャンスを活かすという基本が大事になってくる。


7位 1勝5敗

香川ファイブアローズ

【eFG%】47.3%(8位)
【TO%】14.8%(1位)
【FTR】27.6%(8位)
【ORB%】30.5%(5位)

ウッドベリーを怪我で欠き、リース・ヴァーグが間に合わないなかでコッツァーがオンザコート1で奮闘中。

タフな状況が続きとにかくシュートが入らない様子。
3Pシュート試投数174本で断トツトップながら成功率はワースト。フリースロー成功率も最下位というおまけ付き。
2Pシュートは54.8%と高確率で決めているが試投数は217本で愛媛についでワースト2位。
コッツァーがスクリーンをかけるとどうしてもインサイドのオプションが減ってしまい、なかなか中に入れず、苦し紛れの3Pシュートを打つ流れか。
そのため中に仕掛ける回数が減り、FTRも上がってこない。
ディフェンスではコッツァーがいるためインサイドの支配はある程度カバーできているが、もう少し相手のアウトサイドシュートを抑えたい。
所属選手の通算3P成功率は33.9%と低くないため、ウッドベリーが帰って来れば「eFG%」も「FTR」も上昇するはず。


8位 0勝6敗

愛媛オレンジバイキングス

【eFG%】54.0%(2位)
【TO%】19.2%(7位)
【FTR】29.9%(6位)
【ORB%】19.5%(8位)

愛媛も開幕から合流はライアン・ステファンのみで、第2節の熊本戦ではオンザコート0で戦わざるを得ない状況があるなど未だ勝ち星なし。

3Pシュート成功率は41.1%でリーグ2位だが、ペイント内での得点が37.1%でリーグ最下位。
「ORB%」も19.5%とリーグ唯一の20%割れのためセカンドチャンスの期待が非常に薄い状況になっている。
ディフェンスもインサイドをダブルチームで抑えに行かなければならず、プレッシャーの薄くなったアウトサイドからのシュートを高確率で許す悪循環となっており、6試合で51本の3Pシュートを沈められている。これはワーストの数字。
その結果、nDRtg(ポゼッションあたりの失点)は1.252と断トツに悪い結果となっている。
日本人選手が奮闘するなかで、第3節からはペリー・エリスが合流。あとは昨季B1琉球で活躍したフェルプスを待つばかり。


まとめ


ある程度外国籍選手の目途がついたチームが上位スタートとなり、逆に合流が遅れたチームは下位に沈む結果となっている。
予想はされていたが、得点に対する外国籍選手の重要性が浮き彫りになった第3節までだった。
レギュレーションの変更で、帰化枠やアジア枠を使えるクラブはより優位に立てる状況になったが、クラブの財政によって補強の差はもっと鮮明になるだろう。
とはいえ、まだシーズンは始まったばかり。現在下位に沈んでいるチームもフル戦力で逆襲してくるはずなので、ラスト1秒までヒリヒリする試合が1試合でも増えることを楽しみにしている。

※チームスタッツは順位から確認できます。
公式にはない数字を比較できますのでこちらも是非ご覧ください。